【照会要旨】
当社(3月末決算)は、当社を合併法人としA社(3月末決算)を被合併法人とする適格合併(以下「本件適格合併」といいます。)を行うこととしています。
合併法人が適格合併に伴い被合併法人の未処理欠損金額を引き継ぐ場合、被合併法人の未処理欠損金額は合併法人の各事業年度において生じた欠損金額とみなすこととされているため、本件適格合併に伴い、当社はA社の未処理欠損金額を引き継ぐこととなります。
ところで、本件適格合併によりA社から当社に引き継がれる未処理欠損金額には、当社の青色申告書を提出する事業年度(以下「青色申告事業年度」といいます。)でない事業年度(以下「白色申告事業年度」といいます。)において生じた欠損金額とみなされるものがあります。
この場合、当社は、A社から引き継いだ未処理欠損金額のうち当社の白色申告事業年度において生じたとみなされる欠損金額について、当該欠損金額を基礎として所定の計算をした金額は、本件適格合併の日の属する事業年度以後の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することとなりますか。
なお、本照会においては、次の1から3までのことを前提とします。
1 当社とA社との間には5年超の支配関係があること。
2 当社の事業年度は本件適格合併を行う事業年度の直前の事業年度まで白色申告事業年度であり、他方で、A社の事業年度は過去から継続して青色申告事業年度であること。
3 A社の前十年内事業年度において生じた災害損失金額はないこと。
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【回答要旨】
A社から引き継いだ未処理欠損金額を基礎として所定の計算をした金額を欠損金額として、本件適格合併の日の属する事業年度以後の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することとなります。
(理由)
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1 適格合併が行われた場合、被合併法人の前十年内事業年度において生じた未処理欠損金額は、合併法人のその適格合併の日の属する事業年度以後の各事業年度においては、それぞれその未処理欠損金額の生じた前十年内事業年度開始の日の属するその合併法人の各事業年度において生じた欠損金額とみなすこととされ(法法57
)、当該欠損金額を基礎として所定の計算をした金額は、その適格合併の日の属する事業年度以後の合併法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することとされています(法法57
)。
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2 上記1の未処理欠損金額の引継ぎについて、合併法人と被合併法人との間に5年超の支配関係が継続しているなどの一定の場合又はみなし共同事業要件に該当する場合のいずれにも該当しない場合には、被合併法人の有する未処理欠損金額の引継ぎについて一定の制限が課されることとなります(法法57
、法令112
)。
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3 また、白色申告事業年度において生じた欠損金額に係る欠損金の繰越控除の規定(法法57
)の適用については、当該欠損金額のうち、災害損失金額を超える部分の金額はないものとされているため(法法58
)、災害損失金額がない場合には、白色申告事業年度において生じた欠損金額は、その後の各事業年度に繰り越すことはできず、その結果、その各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することはできないこととなります。
- 4 本照会において、合併法人である貴社と被合併法人であるA社との間に5年超の支配関係があることから、上記2の一定の制限は課されず、合併法人は被合併法人の未処理欠損金額を制限なく引き継ぐこととなります。そして、その未処理欠損金額は、上記1のとおり、その未処理欠損金額の生じた前十年事業年度の開始する日の属する合併法人の各事業年度において生じた欠損金額とみなすこととされていることから、A社の青色申告事業年度において生じた未処理欠損金額が、貴社の白色申告事業年度において生じた欠損金額とみなされることとなります。
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この点、法人税法第57条第2項が「前項の規定の適用については、…欠損金額とみなす。」と規定されていることからすれば、同項でみなされる欠損金額は同条第1項の欠損金額としてみなされるのであって、これに加えて、同法第58条第1項の欠損金額が「内国法人の各事業年度開始の…欠損金額」と規定されていることからすると、同項の欠損金額には同法第57条第2項の規定によりみなされたものは含まれていないこととなります。すなわち、上記1の規定(法法57)によりみなされた欠損金額は、欠損金の繰越控除の規定(法法57
)の欠損金額に含まれますが、上記3の規定(法法58
)の欠損金額には含まれないこととなるため、適格合併により被合併法人から引き継がれた未処理欠損金額は、合併法人において上記3の規定によりないものとされることはありません。そのため、この未処理欠損金額が合併法人の事業年度において生じたものとみなされ、その事業年度が白色申告事業年度である場合であっても、上記3の規定によりないものとされることはなく、合併法人のその適格合併の日の属する事業年度以後の各事業年度の欠損金の繰越控除の規定の対象となる欠損金額となります。
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したがって、本照会においてA社から貴社に引き継がれる未処理欠損金額は、貴社の白色申告事業年度において生じた欠損金額とみなされますが、上記3の規定によりないものとされることはなく、その欠損金額(未処理欠損金額)を基礎として所定の計算をした金額は、貴社の本件適格合併の日の属する事業年度以後の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することとなります。
法人税法第57条第1項~第3項、第58条第1項
法人税法施行令第112条第3項、第4項
以上です。