【照会要旨】
当社は、会計監査人を設置している3月31日決算の株式会社です。今般、当社においては、株主・投資家との対話期間を確保するため、定時株主総会において定款変更の決議をし、「当社の定時株主総会の議決権の基準日は、毎年5月31日とする」としましたが、今後の定時株主総会の招集時期についての定めは設けていません。ただし、その定時株主総会の決議後に提出したコーポレートガバナンス報告書の「集中日を回避した株主総会の設定」欄に、毎年8月に定時株主総会を招集することを記載しており、定時株主総会の招集時期は特定できる状況にあります。
このように、定款において定時株主総会の招集時期の定めがない場合であっても、定時株主総会の議決権の基準日の定めがあり、コーポレートガバナンス報告書により定時株主総会の招集時期が毎年8月であることが確認できる場合には、定款の定めにより各事業年度終了の日の翌日から3カ月以内に定時株主総会が招集されない常況にあると認められ、確定申告書の提出期限について、申請により3カ月の延長が認められるでしょうか。
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【回答要旨】
照会者の意見のとおり認められます。
(理由)
内国法人が会計監査人を置いている場合で、かつ、定款等の定めによりその事業年度以後の各事業年度終了の日の翌日から3カ月以内にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合には、その定めの内容を勘案して4カ月を超えない範囲内において税務署長が指定する月数の期間、確定申告書の提出期限の延長が認められます(法法75の2一)。
また、定款において、定時株主総会の招集時期の定めがない場合であっても、定時株主総会における議決権行使の基準日を定めた場合には、その議決権は基準日から3カ月以内に行使することとなりますので(会社法124括弧書)、例えば、次のような資料により毎年の定時株主総会の招集時期が明らかとなる場合で、各事業年度終了の日の翌日から3カ月以内に定時株主総会が招集されない常況にあることが確認できるときには、定款の定めにより各事業年度終了の日の翌日から3カ月以内に定時株主総会が招集されない常況にあると認められることから、確定申告書の提出期限の延長の特例制度の適用を受けることができます。
- 株主総会における定款変更議案の「提案の理由」として事業年度終了の日の翌日から3カ月を経過する日後の特定の月に定時株主総会を招集することが記載された株主総会参考書類
- 「集中日を回避した株主総会の設定」欄に事業年度終了の日の翌日から3カ月を経過する日後の特定の月に定時株主総会を招集することが記載されたコーポレートガバナンス報告書
- その他変更後の定時総会の招集月が明らかとなる書類(招集時期の変更を決議した取締役会の議事録など)
ご照会の場合、貴社は、定款に定時株主総会の議決権の基準日を定め、コーポレートガバナンス報告書において毎年8月に定時株主総会が招集される常況にあることが確認できることから、定款の定めにより各事業年度終了の日の翌日から3カ月以内に定時株主総会が招集されない常況にあると認められますので、確定申告書の提出期限について、申請により3カ月の延長が認められます。
なお、申請に当たっては、定款の写しのほか、定時株主総会の招集月が確認できる上記からまでのような資料(ご照会の場合には上記)の添付が必要となります。
法人税法第75条の2
会社法124条
以上です。