新型コロナウイルス感染症等の影響に伴い、国や地方公共団体から助成金等の交付を受けた場合、この助成金等はいつの事業年度の収益の額として計上する必要があるのでしょうか。
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【基本的な考え方】
法人税の所得金額の計算上、ある収入の収益計上時期は、原則として、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度となります(法人税法22条2項、4項)。
ご質問の助成金等については、国や地方公共団体により助成金等の交付が決定された日に、収入すべき権利が確定すると考えられますので、原則として、その助成金等の交付決定がされた日の属する事業年度の収益として計上することとなります。
【特定の経費を補填するもの】
ただし、その助成金等が、経費を補填するために法令の規定等に基づき交付されるものであり、あらかじめその交付を受けるために必要な手続(※1)をしている場合には、その経費が発生した事業年度中に助成金等の交付決定がされていないとしても、その経費と助成金等の収益が対応するように、その助成金等の収益計上時期はその経費が発生した日の属する事業年度として取り扱うこととしています(法人税基本通達2-1-42)。
※1 必要な手続とは、例えば、休業手当について雇用調整助成金を受けるための事前の休業等計画届の提出などが該当しますが、新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置により、事前の休業等計画届の提出は不要とされています。その場合の雇用調整助成金の収益計上時期は、原則として、交付決定日の属する事業年度となります。
ただし、事前の休業等計画届の提出が不要の場合であっても、交付申請を行っており、交付を受けることの確実性が認められ、経費が発生した日の属する事業年度に会計上も収益計上しているときには、税務上もその処理は認められると考えられます。
【固定資産の取得又は改良に充てるために交付を受ける国庫補助金等に係る圧縮記帳】
また、助成金等の交付目的に適合した固定資産の取得等をした場合(その助成金等の返還を要しないことがその事業年度終了の時までに確定した場合(※2)に限ります。)において、その取得等に充てた助成金等の額に相当する金額(以下「圧縮限度額」といいます。)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額をその事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法等により経理(以下「圧縮記帳」といいます。)したときは、その圧縮記帳をした金額に相当する金額は、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することとされています(法人税法42条)。
つまり、助成金等相当額の収益計上に合わせて、助成金等相当額を圧縮記帳により費用計上することができます。
※2 例えば、交付決定日の属する事業年度中に助成金等の確定通知を受けていない場合には、返還を要しないことが事業年度終了の時までに確定していませんので、交付決定日の属する事業年度において圧縮記帳をすることはできません。
この場合の交付を受ける助成金等は交付決定日の属する事業年度に収益として計上することとなりますが、その交付決定日の属する事業年度において助成金等相当額の特別勘定を設けて費用等として経理する(注)ことにより、確定通知日の属する事業年度まで収益を繰り延べ、確定通知日の属する事業年度において助成金相当額の収益計上と圧縮記帳による費用計上をすることができます。
(注) 交付を受けた助成金等の確定通知を受けた事業年度まで仮受金等として負債の部に経理する場合も同様です。
以上です。