個人事業が、新型コロナウイルス感染症等の影響に伴い、この事業に関して国や地方公共団体から助成金等の支給を受けた場合、この助成金等はいつの年分の収入金額として申告する必要があるのでしょうか。
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助成金等の収入計上時期については、個別の助成金等の事実関係によって、次のとおり、様々な時期が考えられます。具体例については、下の(参考)1(課税対象となるもの)をご覧ください。
【基本的な考え方】
所得税の所得金額の計算上、ある収入の収入計上時期については、原則として、その収入すべき権利が確定した日の属する年分となります(所得税法36条)。
ご質問の助成金等については、国や地方公共団体により助成金等の支給が決定された日に、収入すべき権利が確定すると考えられますので、原則として、その助成金等の支給決定がされた日の属する年分の収入金額として計上することとなります。
【特定の支出を補填するもの】
ただし、その助成金等が、経費を補填するために法令の規定等に基づき交付されるものであり、あらかじめその交付を受けるために必要な手続(※)をしている場合には、その経費が発生した年分に助成金等の交付決定がされていないとしても、その経費と助成金等の収入が対応するように、その助成金等の収入計上時期はその経費が発生した日の属する年分(PDF/273KB)として取り扱うこととされています(所得税基本通達36・37共-48)。
※ 必要な手続とは、例えば、休業手当について雇用調整助成金を受けるための事前の休業等計画届の提出などが該当しますが、新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置により、事前の休業等計画届の提出は不要とされています。その場合の雇用調整助成金の収入計上時期は、原則として、交付決定日の属する年分(PDF/273KB)となります。
ただし、事前の休業等計画届の提出が不要の場合であっても、交付申請を行っており、交付を受けることの確実性が認められ、経費が発生した日の属する年分において収入計上しているときには、その処理は認められると考えられます。
【固定資産の取得又は改良に充てるために交付を受ける国庫補助金等に係る総収入金額不算入】
また、助成金等の交付目的に適合した固定資産の取得等をした場合(その助成金等の返還を要しないことがその年の12月31日までに確定した場合(※1)に限ります。)において、一定の要件を満たすときには、その固定資産の取得等に充てた部分の金額に相当する金額を総収入金額に算入しないこと(総収入金額不算入)とされています(所得税法42条)。
この場合において、総収入金額に算入しなかった固定資産の取得等に充てられた金額に相当する金額(助成金等相当額)については、その固定資産の取得価額から控除することとされています(※2)。
つまり、助成金等相当額の総収入金額不算入に合わせて、助成金等相当額を固定資産の取得価額から減額することで、課税の繰延べをすることができます。
※1 例えば、交付決定日の属する年中に助成金等の確定通知を受けていない場合には、返還を要しないことがその年の12月31日までに確定していませんので、交付決定日の属する年分において固定資産の取得価額を減額することはできません。
※2 中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例(租税特別措置法28の2)における取得価額の要件(30万円未満)の判定においても、この控除後の金額によります。
〔参考〕
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具体的な税務処理については、以下の資料をご参考ください。
新型コロナウイルス感染症の影響に関連して交付される特定の経費を補填するための助成金等の税務処理について(具体例)(PDF/382KB)
(参考)1 新型コロナウイルス感染症等の影響に関連して国等から支給される主な助成金等の課税関係(例示)
〇非課税対象となるもの
【支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの】 |
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【新型コロナ税特法が非課税の根拠となるもの】 |
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【所得税法が非課税の根拠となるもの】 |
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※ 民間金融機関による実質無利子・無担保融資制度において、信用保証協会に支払う保証料の全額を国が支払うこととなる場合には、個人が支払う保証料はなく、特段の課税関係は生じません(問7-3参照)。
〇課税対象となるもの
助成金等の種類 | 収入計上時期 |
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【事業所得等に区分されるもの】 | |
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【一時所得に区分されるもの】 | |
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【雑所得に区分されるもの】 | |
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※1 「経費発生時」とは、助成金等の支給対象となる経費を支出した時に収入計上するものです。
※2 助成金等による補填を前提としてあらかじめ所定の手続を済ませている場合には、その収入計上時期はその経費が発生した日(経費発生時)の属する年分となります(所得税基本通達36・37共-48)。
※3 これらの助成金等の交付目的に適合した固定資産の取得等をした場合(その助成金等の返還を要しないことがその年の12月31日までに確定した場合に限ります。)において、一定の要件を満たすときには、その固定資産の取得等に充てた部分の金額に相当する金額を総収入金額に算入しない(総収入金額不算入)こととされています(所得税法42条)。
(注)いわゆる現金主義(所得税法67条)や措置法差額(租税特別措置法26条)の適用を受ける方なども対象です。
※4 この特別利子補給制度については、事前に最長3年分の利子相当額の交付を受けるものの、交付を受けた時点では収入として確定せず、支払利子の発生に応じてその発生する支払利子相当額の収入が確定し、無利子化される性質のものと考えられることを踏まえた取扱いです(問7-2参照)。
※5 事業所得等の金額の計算においては、「総収入金額」から「必要経費」を差し引くこととされています。各種給付金等の申請手続に際して発生した費用(行政書士に対する報酬料金など)は、この必要経費に該当します。
(参考)2 国等から支給される主な助成金等の課税関係(例示)
(新型コロナウイルス感染症等の影響に関連して給付されるものを除く。)
〇非課税対象となるもの
【支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの】 |
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【租税特別措置法が非課税の根拠となるもの】 |
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【所得税法が非課税の根拠となるもの】 |
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〇課税対象となるもの
【事業所得等に区分されるもの】 |
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【一時所得に区分されるもの】 |
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【雑所得に区分されるもの】 |
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以上です。