法人税又は消費税の中間申告について、その提出期限までに中間申告書の提出がなかった場合には、中間申告書の提出があったものとみなされることとされています。
新型コロナウイルス感染症の影響により、その提出期限までに中間申告書が提出できず、その後に「新型コロナウイルス感染症による提出期限の延長申請」である旨を付記した中間申告書を提出した場合に、提出期限の延長が認められますか。
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(1) 法人税又は消費税の中間申告についても、期限までに提出することができないと認められるやむを得ない理由がある場合には、確定申告と同様に、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由がやんだ日から2か月以内の範囲で、その提出期限の延長が認められます(国税通則法11条、国税通則法施行令3条3項、4項)。
〔中間申告書の提出期限の延長について〕
(1) 法人税及び消費税の中間申告については、前期の確定した税額から中間申告に係る税額を計算するもの(以下「通常の中間申告」といいます。法人税法71条、消費税法42条)と、これに代えて、中間期間を一つの事業年度(又は課税期間)とみなして確定申告と同様に法人税額(又は消費税額)を計算するもの(以下「仮決算による中間申告」といいます。法人税法72条、消費税法43条)があります。
(2) これらに係る中間申告書についても、新型コロナウイルス感染症の影響により、その提出期限までに提出することが困難な場合には、その提出期限の延長が認められます(国税通則法11条、国税通則法施行令3条3項、4項)。
(3) 例えば、新型コロナウイルス感染症の影響により、当期の業績が悪化しているような場合には、通常の中間申告に代えて、仮決算による中間申告を検討することとなると考えられます。
(4) その際に、外出自粛要請の影響など、通常の業務体制が維持できないことにより、例えば、
- 通常の中間申告に係る納付税額と、仮決算による中間申告に係る納付税額
- を比較・検討するための準備に時間を要する
- 仮決算による中間申告に係る申告書の作成に時間を要する
など、中間申告書を提出期限までに提出することが困難となる場合が考えられますが、このような場合にも、提出期限の延長が認められます。
〔事後的な提出期限延長の申請手続について〕
(1) その提出期限までに中間申告書を提出することが困難な場合には、納税地を管轄する税務署長に対し、災害その他やむを得ない理由がやんだ日後、2か月以内に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出いただければ、税務署長が指定した日(災害その他やむを得ない理由がやんだ日から2か月以内)まで期限が延長されます。
※ 具体的には、以下のリンク先の記載例をご覧ください。
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- (法人)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/0020004-044.pdf
- (個人)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/0020004-021_02.pdf
※ 中間申告書を提出することが困難な状態が、確定申告書の提出期限まで続く場合には、その中間申告書の提出は不要となります(法人税法71条の2、消費税法42条の2)。
つまり、中間申告により納付する法人税及び消費税は生じないこととなります。
この場合には、確定申告書を提出する際に、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を作成し、併せて提出する必要があります。
なお、所轄税務署から送付される確定申告書に印字されている中間税額には、その生じないこととなる税額が含まれていますので、使用する際には、その生じないこととなる税額相当額を控除した金額に訂正して使用する必要があります。
(2) なお、期限までに申告等をすることができないやむを得ない理由の内容等について、税務署から「お尋ね」が来る場合があります。
〔中間申告書のみなし提出について〕
(1) 一方、上記のような事情がなく、中間申告書をその提出期限までに提出することが可能な場合において、中間申告書の提出期限までにその提出がなかったときには、その提出期限において通常の中間申告に係る中間申告書の提出があったものとみなされますのでご注意ください(法人税法73条、消費税法44条)。
(2) この場合には、その提出期限において通常の中間申告に係る納付税額が確定します。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、その中間申告に係る納付税額を一時に納付することが困難な場合には、税務署に申請することにより、納税についての猶予制度を適用できる場合があります。
以上です。