新型コロナウイルス感染症に関連して、期限内に国税の申告・納付ができない場合、災害その他やむを得ない理由による期限延長が認められますか。
↓↓↓↓↓
(1) 新型コロナウイルス感染症(以下、この問では「感染症」といいます。)に関しては、これまでの災害時のように資産等への損害や帳簿書類等の滅失といった直接的な被害が生じていないものの、感染症の患者が把握された場合には濃厚接触者に対する外出自粛の要請等が行われるなど、自己の責めに帰さない理由により、その期限までに申告・納付等ができない場合も考えられます。
(2) 今般の感染症に関しては、これまでの災害時に認められていた理由のほか、例えば、次のような理由により、申告書や決算書類などの国税の申告・納付の手続に必要な書類等の作成が遅れ、その期限までに申告・納付等を行うことが困難な場合には、困難な理由がやんだ日から2か月以内の範囲で個別の申請による期限延長(個別延長)が認められることとなります(国税通則法11条、国税通則法施行令3条3項、4項)。
(3) なお、期限までに申告等をすることができないやむを得ない理由の内容等について、税務署から「お尋ね」がある場合があります。
〔個人・法人共通〕
税務代理等を行う税理士(事務所の職員を含みます。)が感染症に感染したこと
納税者や法人の役員、経理責任者などが、現在、外国に滞在しており、ビザが発給されない又はそのおそれがあるなど入出国に制限等があること
次のような事情により、企業や個人事業者、税理士事務所などにおいて通常の業務体制が維持できない状況が生じたこと
- 経理担当部署の社員が、感染症に感染した、又は感染症の患者に濃厚接触した事実がある場合など、当該部署を相当の期間、閉鎖しなければならなくなったこと
- 学校の臨時休業の影響や、感染拡大防止のため企業が休暇取得の勧奨を行ったことで、経理担当部署の社員の多くが休暇を取得していること
- 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、生活の維持に必要な場合を除きみだりに自宅等から外出しないことが求められ、在宅勤務の体制も整備されていない等の理由から、経理担当部署の社員の多くが業務に従事できないこと
〔個人〕
納税者や経理担当の(青色)事業専従者が、感染症に感染した、又は感染症の患者に濃厚接触した事実があること
次のような事情により、納税者が、保健所・医療機関・自治体等から外出自粛の要請を受けたこと
- 感染症の患者に濃厚接触した疑いがある
- 発熱の症状があるなど、感染症に感染した疑いがある
- 基礎疾患があるなど、感染症に感染すると重症化するおそれがある
新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、生活の維持に必要な場合を除きみだりに自宅等から外出しないことが要請されていること
〔法人〕
感染症の拡大防止のため多数の株主を招集させないよう定時株主総会の開催時期を遅らせるといった緊急措置を講じたこと
※ 上記以外にも、個別の申請により申告期限等が延長される場合があります。
以上です。