源泉徴収義務者である法人から源泉徴収の対象となる配当の支払を受ける外国法人(非居住者等)が、租税条約による源泉所得税の免除を受けるためには、「租税条約に関する届出書」に外国の税務当局が発行する「居住者証明書」を添付する必要があります。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、その外国の税務当局における「居住者証明書」の発行が遅延しており、届出書の提出期限までに居住者証明書を取得することが困難な状況となっています。
このような場合、租税条約による源泉所得税の免除は受けられないのでしょうか。
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原則として、「租税条約に関する届出書」(居住者証明書等の添付書類を含みます。)を期限までに提出できない場合、源泉徴収義務者は、その配当に係る源泉所得税を法定納期限までに納付する必要があります(所得税法212条1項)。
なお、後日、「租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書」を提出することで源泉徴収された所得税の還付を受けることができます(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令2条8項、9項等)。
ご質問のように、「租税条約に関する届出書」に「居住者証明書」を添付する必要がある場合において、新型コロナウイルス感染症の影響により、外国の税務当局による「居住者証明書」の発行が遅延している旨の申立てがあり、次のように非居住者等が条約相手国の居住者であることが確認できる場合には、新型コロナウイルス感染症が沈静化するまでの当面の対応として、それぞれ次の方法によることとしてよいものとされています。
(1) 源泉徴収義務者が非居住者等の「居住者証明書」の写し(おおむね1年以内に発行されたもの)を保管している場合
源泉徴収義務者がその写しのコピーを作成し、その届出書に添付して提出する(後日、税務署から直近の「居住者証明書等」の確認を求められた場合には、その証明書の提出等をする)方法
(2) 非居住者等が源泉徴収義務者の関連会社等(注1)であって、その源泉徴収義務者において、その非居住者等が条約相手国の居住者であることが明らかな場合
その源泉徴収義務者がその届出書の余白部分にその旨を記載(注2)して提出する(後日、「居住者証明書」の発行を受けた際には、その「居住者証明書」にその届出書の控え(税務署の収受印の押印のあるもの等)の写しを添付して税務署に提出する)方法
- (注1) 関連会社等とは、源泉徴収義務者と資本関係や人的関係等を有する者で、その者が条約相手国の居住者であることについてその源泉徴収義務者において判断することができる者をいいます。
- (注2) 届出書の余白部分には、例えば、「所得者は、支払者の親会社であり、〇〇国の居住者であることが明らかである。居住者証明書の発行が遅延しているため、当該証明書は後日提出する。」となどと記載すればよいものとされています。
- ※ この取扱いは、「外国居住者等所得相互免除法に関する届出書」の提出についても同様です。
以上です。