個人事業者が、令和2年分以後の所得税については青色申告にしたいと考えています。この場合に、令和元年分の所得税の確定申告書は、通常の確定申告期限内に提出しましたが、青色申告承認申請書は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により期限内に提出することができなかったとします。
この感染症拡大の影響がなくなり次第、青色申告承認申請書を提出したい場合に、 令和2年分から青色申告にすることはできるのでしょうか。
(1) 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、申告所得税(及び復興特別所得税)、贈与税及び個人事業者の消費税(及び地方消費税)に係る申告・納付等のうち、その期限 が令和 2 年 2 月 27 日(木)から同年4月 15 日(水)までの間に到来するものについては、その期限を同年 4 月 16 日(木)まで延長されました。
(2) また、この期限に申告・納付等が間に合わない方については、同年4月 17 日(金)以後であっても、申告書等の作成や提出が可能となった時点で税務署に申し出ていただけ れば、個別に期限延長の取扱いをすることとしています。
(3) 期限延長の対象となる手続には、申告・納付手続のほか、税務署長に対する各種申請、 請求、届出その他書類の提出についても含まれており、所得税の青色申告の承認申請についても同様に期限延長の対象となりますので、帳簿書類の備付け・保存などが青色申 告の所定の定めに従って行われている場合には、その申請により、令和 2 年分の所得税から青色申告をすることができます。
※ 個別の期限延長の取扱いは、もともと申告や申請等をすることができないやむを得ない理由がある場合に認められるものです(国税通則法 11 条、国税通則法施行令3条3項)。
したがって、例えば、令和2年 4 月 17 日(金)以後に修正申告や更正の請求などの手続を行った後、別の日に青色申告の承認申請を行う場合には、その申請をすることができないやむを得ない理由があったとは認められず、令和2年分の所得税から青色申告をすることはできません。
(参考)青色申告の特典(主なもの)
〈最高 65 万円の青色申告特別控除〉
事業所得又は不動産所得を生ずべき事業を営む方が、正規の簿記の原則に従い記帳し、 その記帳に基づき作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、確定申告 書を提出期限内に提出する場合は、これらの所得を通じて次の金額を控除することがで きます。それ以外の場合は、事業所得等を通じて最高 10 万円を控除することができま す(租税特別措置法 25 条の2)。
1 e-Tax による申告(電子申告)又は電子帳簿保存の要件を満たしている場合・・・最高 65 万円
2 上記1以外の場合 最高 55 万円
〈青色事業専従者給与の必要経費算入〉
青色申告者と生計を一にしている配偶者や 15 歳以上の親族で、その事業に専ら従事している人(青色事業専従者)に支払った給与は、あらかじめ納税地の所轄税務署に提出した届出書に記載された金額の範囲内で、青色事業専従者の労務の対価として適正な金額であれば必要経費とすることができます(所得税法 57 条)。
〈純損失の繰越しと繰戻し〉
事業所得等が赤字となり、純損失が生じたときは、その損失額を翌年以後 3 年間にわ たって各年分の所得から差し引くことができます(純損失の繰越し)(所得税法 70 条1 項)。
また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を 前年分の所得に繰り戻して控除し、前年分の所得税の還付を受けることもできます(純損失の繰戻し)(所得税法 140 条)。
以上です。