ある会社(内国法人)が、これまで従業員を海外現地法人に派遣(3か月)してきましたが、今般の新型コロナウイルス感染症の世界的拡大に伴う移動制限を踏まえて、この派遣期間が終了した後も当分の間、従業員を日本に帰国させることなく、引き続き現地において、この会社の業務に従事させていたとします。
この従業員に対し、この会社は給与を支払っていますが、このような場合、派遣期間中に支払った給与に関する源泉徴収の手続と何か変更点はあるのでしょうか。
(注)この従業員は、通常は日本国内で家族と暮らしているものとします。帰国後も同様です。
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国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人は、居住者に該当します(所得税法2条1項3号)。また、居住者が勤務先から受け取る給与、賞与などは給与所得(所得税法28条)に該当し、所得税の課税対象となります。
このケースにおいて、この従業員は、現在一時的に海外に滞在していますが、国内に住所を有していると認められるため、居住者に該当します。
したがって、この会社が居住者である従業員に対して支払う給与については、これまでと同様に所得税を源泉徴収する必要があります(所得税法183条)。
以上です。