たとえば、3月決算法人である会社が、基準日を3月末日とし、毎年6月下旬に定時株主総会を開催しているため、法人税の確定申告書については、法人税法75条の2第1項の規定を適用することにより、提出期限を1月延長し6月末日までとしているものとします。
この場合に、新型コロナウイルス感染症の影響により、決算・監査に関する業務に大きな遅延が生じている状況にあり、通常どおり6月下旬に定時株主総会を開催することが困難なことから、5月下旬に基準日を変更する旨を公告し、定時株主総会の開催時期を8月下旬に延期するとともに、法人税の確定申告書の提出期限についても、法人税法75条の2第9項を適用し、国税通則法11条の規定による期限延長の適用を受ける予定にしています。
そこで、当社では、毎年、定時株主総会において、役員報酬の総額及び取締役会にて各役員の定期給与の額(毎月同額)を決定する旨を議決しており、今回の定時株主総会においても同様の議決を行い、その後に開催する取締役会において各役員の定期給与の額の改定を行う予定にしています。
ここで、今回の役員給与の改定は、その改定時期が通常の改定時期である3月経過日等後となりますが、改定後の役員給与の額は定期同額給与に該当しないこととなるのでしょうか。
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(1) この場合には、「特別の事情があると認められる場合」に該当し、定期同額給与の通常改定時期の要件を満たすこととなります。
(2) 役員給与のうち、毎月の給与額の改定(以下「通常改定」といいます。)については、会計期間開始の日から3月(法人税法第75条の2第1項の規定(以下「申告期限の延長特例」といいます。)の適用を受けている場合にはその指定月数に2を加えた月数)を経過する日(以下「3月経過日等」といいます。)までに行うことが要件とされています。
これに加えて、継続して毎年所定の時期にされる改定に限り、3月経過日等後となることにつき「特別の事情があると認められる場合」には、その通常改定の時期の要件は、その改定の時期とされています(法令69一イ)。
(3) 確定申告書の提出期限について申告期限の延長特例を適用せず、国税通則法第11条による期限の延長の規定の適用を受ける場合(法法75の2)には、役員給与の通常改定の時期が3月経過日等後となることにつき「特別の事情があると認められる場合」に該当しない限り、定期同額給与の通常改定の時期の要件を満たさないこととなります。
(4) この点、定時株主総会に合わせて役員給与の通常改定が3月経過日等後に行われる場合には、自己の都合によらない「特別の事情があると認められる場合」に該当し、定期同額給与の通常改定の時期の要件を満たすこととなります。
〔参考〕
- 法人税法基本通達9-2-12の2(特別の事情があると認められる場合)
以上です。