皆さん、明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い致します。
さて、令和3年の第一弾は、法人税についてです。
給食の提供事業を行っている法人が、新型コロナウイルス感染症に関連して、学校の臨時休業の影響で、給食用として準備していた食材を廃棄しなければならなくなったほか、調理場や配膳室などの施設を消毒する必要が生じたようなケースは多いです。
災害により生じた損失がある場合には、法人税の繰戻し還付制度を利用して、過去に納めた法人税等の還付を受けることができます。
このような廃棄損や、消毒に要する費用については、法人税の取扱上「災害により生じた損失」に該当するでしょうか。
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(1) 今般の新型コロナウイルス感染症に関連して、学校の臨時休業や外出自粛の要請等が行われたことにより、棚卸資産や固定資産などに損失が生じている場合や、感染症の拡大や発生を防止するための消毒等の費用を支出している場合、これらの損失や費用の額は、「災害により生じた損失の額」に該当します。
(2) ただし、災害損失欠損金の繰戻し還付制度の対象となる「災害により生じた損失の額」については、災害により棚卸資産、固定資産又は一定の繰延資産について生じた損失の額が対象とされているため、例えば、外出自粛の要請等があったことによる店舗の売上げの減少額などは対象とはなりません。(注)(法人税法80条5項、法人税法施行令154条の3)
(注)一定の青色申告法人の場合、青色欠損金については1年間の繰戻し還付が可能です(法人税法80条1項)。
〔災害損失欠損金に該当する例〕
① 飲食業者等の食材(棚卸資産)の廃棄損
② 感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損
③ 施設や備品などを消毒するために支出した費用
④ 感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気清浄機等の購入費用
⑤ イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損
※ 繰戻し還付の対象となる災害損失とは、棚卸資産や固定資産に生じた被害(損失)に加え、その被害の拡大・発生を防止するために緊急に必要な措置を講ずるための費用が該当します。
〔災害損失欠損金に該当しない例〕
① 客足が減少したことによる売上げ減少額
② 休業期間中に支払う人件費
③ イベント等の中止により支払うキャンセル料、会場借上料、備品レンタル料
※ 上記のように、棚卸資産や固定資産の被害の拡大・発生を防止するために直接要した費用とは言えないものについては、災害損失欠損金に該当しません。
以上です。