たとえば、Jリーグクラブのスポンサーとして、クラブと広告宣伝契約を取り交わし、毎年スポンサー料を支出していた企業があった場合に
新型コロナウイルス感染症の影響で、試合数の減少や無観客試合の増加によって、広告宣伝価値が減少したことから、当初の契約で定める掲出条件が満たせなくなり、企業がクラブに対して、スポンサー料の一部の返還を求めることができる契約だったとします。
しかし、契約先のクラブはチケット収入も減少するなどして経営難となっており、当該企業としては、復旧支援のため、契約上の対象試合や露出が減少したとしても、スポンサー料の返還を辞退(払戻請求権を放棄)することを考えています。
このようなスポンサー料の返還を辞退したことによる損失の額は、法人税の取扱上、寄附金や交際費等以外の費用に該当するかについては次によります。
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スポンサー料の返還の辞退(注1)が、新型コロナウイルス感染症の影響により、経営難となったプロスポーツ団体の復旧支援のため、相当の期間内(注2)に行うもので、復旧支援目的であることが書面などにより確認できる場合、その辞退による損失の額は、寄附金や交際費等以外の費用に該当します。
各プロスポーツ界では、今般の感染症により、大規模イベント等の中止、延期、規模縮小等の要請に伴い、スポーツ活動や興行の運営自粛を余儀なくされ、各プロスポーツ団体の中には事業継続が困難となっているところも少なくありません。
このような相手先(団体)に対して、スポンサー企業が復旧支援のため、売掛債権等(未収金や貸付金、払戻請求権などの債権を含みます。)の全部又は一部を免除したことによる損失の額は、法人税の取扱上、自然災害時と同様に寄附金や交際費等の額に該当しないものとして取り扱われ、全額損金算入されます。
また、スポンサー企業が取引関係の維持、回復を目的として相当の期間内に災害見舞金の支出を行った場合も、交際費等に該当しないものとして取り扱われ、その支出額は全額損金算入されます。
(注1)
スポンサー料の返還の辞退については、当該スポンサー料を契約時に一括払い(前払い)したケースに限らず、当初契約時の支払条件に従い期中に分割払い(後払い)したケースも同様に取扱われます。
(注2)
相当の期間内とは、通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間内をいい、例えば、プロス
ポーツ興行の場合は、試合の再開や観客の入場制限などが解消した後で観客動員数がコロナ禍の前の状態に戻るまでの期間などが考えられます。
〔参考通達〕
法人税基本通達9-4-6の2(災害の場合の取引先に対する売掛債権の免除等)
租税特別措置法関係通達(法人税編)61 の4(1)―10 の 2(災害の場合の取引先に対する売掛債権の免除等)
租税特別措置法関係通達(法人税編)61 の4(1)―10 の3(取引先に対する災害見舞金等)
以上です。