新型コロナウイルス感染症等の影響に伴い、国や地方公共団体から個人に対して助成金が支給されることがありますが、こうした助成金についての所得税の課税関係について説明します。
国や地方公共団体からの助成金については、個別の助成金の事実関係によって、次の とお課税関係が異なります。
【非課税となるもの】
次のような助成金(助成金には、商品券などの金銭以外の経済的利益を含みます。以 下同じです。)は、非課税となります。
① 助成金の支給の根拠となる法令等の規定により、非課税所得とされるもの
② その助成金が次に該当するなどして、所得税法の規定により、非課税所得とされる もの
・ 学資として支給される金品(所得税法9条1項十五号)
・ 心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金(所得税法9 条1項十七号)
【課税となるもの】
上記の非課税所得とならない助成金については、次のいずれかの所得として所得税の課税対象になります。
① 事業所得等に区分されるもの 事業に関して支給される助成金(例えば、事業者の収入が減少したことに対する補 償や支払賃金などの必要経費に算入すべき支出の補てんを目的として支給するものな ど)
(注) 補償金の支給額を含めた1年間の収入から経費を差し引いた収支が赤字となる場合などには、 税負担は生じません。また、支払賃金などの必要経費を補てんするものは、支出そのものが必要 経費になります。
② 一時所得に区分されるもの 例えば、臨時的に一定の所得水準以下の方に対して支給するなど、事業に関連しな いもので、一時に支給される助成金
(注) 一時所得については、所得金額の計算上、50 万円の特別控除が適用されることから、他の一 時所得とされる金額との合計額が 50 万円を超えない限り、課税対象になりません。
③ 雑所得に区分されるもの
上記①・②に該当しない助成金
※1 一般的な給与所得者については、給与所得以外の所得が 20 万円以下である場合には、確定申告不要 とされています。
※2 国や地方公共団体による主な助成金等の課税関係については、下の(参考)をご確認ください。 なお、下の(参考)に記載がない助成金等の課税関係については、その助成金等の支給元である国や地方公共団体の窓口で確認をします。
(参考)国等から支給される主な助成金等の課税関係(例示)
~非課税のもの~
【支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの】
・雇用保険の失業等給付(雇用保険法 12 条)
・生活保護の保護金品(生活保護法 57 条)
・児童(扶養)手当(児童手当法 16 条、児童扶養手当法 25 条)
・被災者生活再建支援金(被災者生活再建支援法 21 条)
【租税特別措置法が非課税の根拠となるもの】
・簡素な給付措置(臨時福祉給付金)(措置法 41 条の81項一号)
・子育て世帯臨時特例給付金(措置法 41 条の81項二号)
・年金生活者等支援臨時福祉給付金(措置法 41 条の81項三号)
【新型コロナ税特法が非課税の根拠となるもの】
・(★)一人当たり10万円の特別定額給付金 (新型コロナ税特法4条一号)
・(★)子育て世帯への臨時特別給付金 (新型コロナ税特法4条二号)
【所得税法が非課税の根拠となるもの】
・東京都認証保育所の保育料助成金(所得税法9条1項十五号)
・(★)企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券 (所得税法9条1項十七号)
・(★)東京都のベビーシッター利用支援事業における助成 (所得税法9条1項十七号)
~課税のもの~
【事業所得等に区分されるもの】
・(★)小学校休業等対応助成金
・(★)小学校休業等対応支援金
・(★)雇用調整助成金
・(★)持続化給付金
・(★)東京都の感染拡大防止協力金
・肉用牛肥育経営安定特別対策事業による補てん金
【一時所得に区分されるもの】
・すまい給付金 ・地域振興券
【雑所得に区分されるもの】
・企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における割引券(通常時のもの)
・東京都のベビーシッター利用支援事業における助成(通常時のもの)
(★)印は、今般のコロナウイルス感染症等の影響に関連して創設等された助成金等
PS.
6月12日に国税庁によって、新しい情報が追加されましたので、当ブログの2020年6月29日の記事もご覧ください。
以上です。