令和2年4月6日に公開された新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置についての「まとめ」の情報です。
(1) 法人税、消費税、固定資産税、社会保険料等の納付の猶予!
収入が大幅に減少している事業者は、法人税や消費税、固定資産税など、 基本的に全ての税目の納税が猶予されます。また、社会保険料の納付も同様に猶予されます。
適用要件等は以下のとおりです。
① 令和2年2月1日から納期限までの一定期間(1か月以上)において、収入が前年同期比概ね20%以上減少した場合・・・・1年間納税を猶予
② 一時の納税が困難と認められる場合に適用(少なくとも向こう半年間の事業用資金を考慮するなど納税者の状況に配慮)
③ 担保は不要、延滞税・延滞金は全額免除
④ 申請書類の提出が困難な場合は口頭説明も可能など、柔軟に運用
(2) 事業用家屋・償却資産の固定資産税の軽減!
<既存の事業用家屋・償却資産に対する固定資産税・都市計画税の減免>
売上が大幅に減少している中小事業者等に対して、償却資産と事業用家屋に係る 固定資産税及び都市計画税が減免されます(令和3年度課税分) 。
① 令和3年1月31日までに、認定経営革新等支援機関等の認定を受け、市町村へ申告した者に適用
② 売上減少割合に応じて、以下のように軽減(減収額は全額国費で補填する)
令和2年2月~10月までの任意の3ヶ月間の 売上高の対前年同期比減少率に対する減免率は次のとおりです。
●30%以上50%未満減少・・・・・2分の1
●50%以上減少・・・・・全額
<新規設備投資に対する固定資産税の減免>
現行の中小企業に対する固定資産税の軽減措置(生産性向上特別措置法に基づく特例措置)について、償却資産に加え、事業用家屋と構築物も対象となります(減収額は全額国費で補填する)。
適用要件等は以下のとおりです。
① 事業用家屋は、取得価格の合計額が300万円以上の先端設備等とともに導入されたもの。構 築物は、旧モデル比で生産性が年平均1%以上向上する一定のもの
※ 事業用家屋、構築物ともに中小事業者等の認定先端設備等導入計画に位置付けられたもの
② 固定資産税の軽減割合は、3年間ゼロ~1/2以下(市町村の条例で定める割合)
③生産性向上特別措置法の改正を前提に令和4年度まで2年間延長
(3) 法人税の欠損金の繰戻し還付が中堅企業でも利用可能に!
従来からの期末資本金1億円以下の中小法人に加え、中堅企業でも欠損金の繰戻し還付が利用できるようになります。
適用要件は、中堅企業(資本金1億円超10億円以下の法人※)の令和2年2月1日 ~令和4年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金です。
※ 資本金10億円超の法人の100%子会社及び 100%グル ープ内の複数の大規模法人に発行済株式の全部を保有されている法人等は除かれます。
前期の法人税額 × 当期の欠損金額 ÷ 前期の所得金額 = 還付請求できる法人税の額
(前期の所得金額が限度)
※ 青色欠損金の繰戻し還付制度とは、青色申告法人で、各事業年度において生じた欠損金について、その欠損が生じた事業年度(欠損事業年度)開始の日前1年以内に開始した事業年度(還付所得事業年度)の所得に繰り戻し、その所得に対する法人税額の全部 又は一部を還付することができる制度です。
※ この特例は、令和2年2月1日から令和4年1月 31 日までの間に終了する事業年度 に生じた欠損金額について適用されます。
※還付請求を行う場合は、欠損事業年度の確定申告書の申告期限までに還付請求書を提出しなければいけません。
(注) 今回設けられた特例により本制度の対象となる法人が、令和2年7月1日前に欠損事業年度の確定申告書を提出している場合の請求期限は、令和2年7月 31 日となります。
※ 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて期限までに申告や還付請求の手続が困難な場合には、個別に期限延長が認められます(4/22の当ブログ参照)。
(4) テレワーク導入支援のための設備投資減税の拡充!
「中小企業経営強化税制」において、テレワーク等のための設備投資(遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれ かを可能とする設備を取得した場合)に係る新たな類型が追加されます。
【中小企業経営強化税制の概要】
中小企業経営強化法の認定を受けた「経営力向上計画」に基づく設備投資に対して、即時償却 or税額控除10%(一部7%)を選択適用
<現行の設備類型>
生産性向上設備(A類型):生産性が年平均1%以上向上 改善する設備
収益力強化設備(B類型):投資利益率5%以上の投資計 画に係る設備
これに次のものが追加されます。
デジタル化設備(新類型):遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかに該当する設備
・機械装置(160万円以上)
・工具(30万円以上)
・器具備品(30万円以上)
・建物附属設備(60万円以上)
・ソフトウェア(70万円以上)
この制度は、中小企業経営強化税制とは、青色申告書を提出する中小企業者などが、指定期間内に、 経済産業大臣の認定を受けた経営力向上計画に基づき取得等をした一定の規模の設備に ついて、指定事業の用に供した場合、即時償却又は設備投資額の7%(資本金の額が 3,000 万円以下の法人などは 10%)の税額控除をすることができる制度です。
(5) 売上減少により消費税の課税選択をやめることが可能に!
売上が著しく減少した事業者において、課税期間中であっても、課税選択をやめ る(免税事業者に戻る)ことなどが可能となる特例が創設されます。
適用要件は次のとおりです。
●法律の施行後に申告期限が到来し、かつ、令和2年2月1日以降、令和3年1月31日までの期間に売上減少※が生じた事業者
※ 一定期間(1か月以上)における売上が前年同期比概ね50%以上減少
●当該課税期間の申告期限までに申請書を提出(税務署長の承認が必要)
●基準期間における課税売上高が1,000 万円以下等
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今般、措置された「消費税の課税選択の変更に係る特例」により、新型コロナウイル ス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響(以下この問では「新型コロナウイル ス感染症等の影響」といいます。)を受けている事業者の方で一定の条件を満たす方は、 納税地の所轄税務署長の承認を受けることで、特定課税期間以後の課税期間について、 課税期間の開始後であっても、課税事業者を選択する(又はやめる)ことができること とされました。
※ 「特定課税期間」とは、新型コロナウイルス感染症等の影響により事業としての収入の著しい減少が あった期間内の日を含む課税期間をいいます。
(注) 課税事業者の選択をやめる場合であっても、納税義務が免除される事業者は、その課税期間の基 準期間(法人は前々事業年度、個人事業者は前々年)における課税売上高が 1,000 万円以下の事業 者等です。
【特例の対象となる事業者】
新型コロナウイルス感染症等の影響により、 令和2年2月1日から令和3年1月 31 日までの間のうち 任意の1か月以上の期間の事業としての収入が、 著しく減少(前年同期比概ね 50%以上)している事業者
また、本特例により課税事業者を選択する(又はやめる)場合、2年間の継続適用要 件等は適用されません(本特例により課税事業者を選択した課税期間の翌課税期 間において、課税事業者の選択をやめることも可能です。)
※ このほか、新設法人が調整対象固定資産を取得した場合等における納税義務免除の制限について、税 務署長の承認によりその制限を解除する特例が設けられています。
特例の承認を受けようとする場合、原則として、特定課税期間の確定申告期限までに、 承認申請書を税務署に提出しなければいけません。
(6) 特別貸付に係る印紙税が非課税に!
公的金融機関や民間金融機関等が、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に対して行う特別貸付けに係る契約書については、印紙税が非課税となります。
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今般、措置された特例「特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税」により、新型コ ロナウイル
ス感染症及びそのまん延防止のための措置によりその経営に影響を受けた事業者に対して行う一定の金銭の貸付けに係る消費貸借契約書(※)のうち、令和3年1 月 31 日までに作成されるものについて、印紙税が非課税とされました。
※ 非課税措置の対象となる消費貸借契約書は、公的貸付機関等(地方公共団体、政府系金融機関等を いいます。)又は金融機関(銀行、信用金庫、信用協同組合等の民間金融機関をいいます。)が、他の金銭の貸付けの条件に比べ特別に有利な条件で行う金銭の貸付けに際して作成される消費貸借契約書を いいます。
また、印紙税が非課税となる消費貸借契約書について、既に印紙税を納付している場 合には、「印紙税過誤納確認申請書」を税務署に提出(※)し、税務署長の過誤納確認を 受けることにより、その納付された印紙税額に相当する金額の還付を受けることができ ます。
※ 過誤納となった契約書等(原本)を提示又は過誤納となった事実を金融機関等が証明した書類(原 本)を提出する必要があります。
(7) チケット代金払戻しの放棄によって、寄附金控除が受けられる!
文化芸術・スポーツイベントの中止等に伴い、観客等がチケット代金等の払戻しを求めなかった場合、その金額は寄附とみなされ、寄附金控除の対象となります。
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今般の新型コロナ税特法においては、観客等が指定行事(注1)の中止等により生じた 入場料金等の払戻請求権の全部又は一部の放棄を令和2年2月1日から令和3年 12 月 31 日までの期間(指定期間)内にした場合には、
観客等がその年の指定期間内において 放棄をした部分の入場料金等の払戻請求権の価額(注2)の合計額(最高 20 万円)につい て、寄附金控除の対象(所得控除・税額控除)とすることとされました。
(注1) 「指定行事」とは、令和2年2月1日から令和3年1月 31 日までに開催予定であった文化芸 術・スポーツに関する行事のうち、新型コロナウイルス感染症が発生したことによる政府からの 要請を受けて中止等を行った行事であると認められるものとして文部科学大臣が指定するものと されており、具体的には、文化庁・スポーツ庁のホームページに公表される予定です。
(注2) 特定寄附金、認定 NPO 法人等に対する寄附金及び公益社団法人等に対する寄附金の額(現行の 寄附金控除の対象として控除可能なもの)やその放棄をした者に特別の利益が及ぶと認められも のの金額を除きます。
※ この特例の適用を受けるためには、放棄をした翌年の確定申告において、原則として、 確定申告書に次の書類を添付する必要があります。主催者からこれらの証明書の交付を 受けてください。
・ 指定行事認定証明書(指定行事に該当することその他一定の事実を証する書類)の 写し
・ 払戻請求権放棄証明書(放棄をした入場料金等の払戻請求権の価額その他一定の事実を証する書類)
適用を受けるには、次のような手順となります。
主催者側が文化庁等に申請を行う
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文化庁等が「特例対象イベント証明書(仮称)」等を交付し、当該イベント名等を公表
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主催者側が「特例対象イベント証明書(仮称)」のコピーと「払戻請求権放棄証明書(仮称)」を観客等に交付
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観客等が確定申告により寄附金控除を行う
「特例対象イベント証明書(仮称)」のコピーと「払戻請求権放棄証明書(仮称)」を添付
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税務署に申告書を提出
(8) 自動車税・軽自動車税環境性能割の臨時的軽減の延長
自家用乗用車(登録車及び軽自動車)を取得した場合、自動車税環境性能割及び軽自動車税環境性能割の税率を1%分軽減する特例措置について、その適用期限を6月延長し、令和3年3月31日までに取得したものを対象とされます(減収額は国費で補填)。
(9) 住宅ローン控除の適用要件の弾力化
新型コロナウイルス感染症の影響による住宅建設の遅延等によって住宅への入居が遅れた場合でも、期限内に入居したものと同様の住宅ローン控除を受けられるよう、以下のように適用要件を弾力化するものとされています。
① 住宅ローン減税の控除期間 13 年間の特例措置について、新型コロナウイルス感染症の影響により入居が期限(令和2年 12 月 31 日)に遅れた場合でも、以下の要件を満 たした上で令和3年12 月 31 日までに入居すれば、特例措置の対象となります。
イ. 次の期日までに契約が行われていること。
・ 注文住宅を新築する場合:令和2年9月末
・ 分譲住宅・既存住宅を取得する場合、増改築等をする場合:令和2年 11 月末
ロ. 新型コロナウイルス感染症の影響によって、注文住宅、分譲住宅、既存住宅又は増改築等を行った住宅への入居が遅れたこと。
② 既存住宅を取得した際の住宅ローン減税の入居期限要件(取得の日から6ヵ月以内) について、取得後に行った増改築工事等が新型コロナウイルス感染症の影響で遅れ入居が遅れた場合でも、以下の要件をすべて満たしていれば、入居期限が「増改築等完了の日 から6ヵ月以内」となります。
(イ) 以下のいずれか遅い日までに増改築等の契約が行われていること。
・ 既存住宅取得の日から5ヵ月を経過する日
・ 関連税制法案の施行の日である令和2年4月30日から2ヵ月を経過する日
※施行の日より前に契約が行われている場合でも構いません。
(ロ) 取得した既存住宅に行った増改築等について、新型コロナウイルス感染症の影響によって、 増改築等後の住宅への入居が遅れたこと。
(ハ) 増改築等の終了後6か月以内に、中古住宅に入居していること。
(二) 令和3年12月31日までに中古住宅に入居していること。
~参考~
住宅ローン控除は、住宅ローンを借りて住宅の取得等をした場合において、その取得等の日から6か月以内に居住の用に供するなど一定の要件を満たしたときは、原則として毎年の住宅ローン残高の1%を 10 年間、所得税等から控除する制度です。 なお、消費税率 10%が適用される住宅を令和2年 12 月 31 日までに取得等をした場合には、控除期間を 13 年間に延長する特例措置(建物購入価格等の消費税率2%分の 範囲で減税)が設けられています。
~当該規定の申告手続~
住宅ローン控除の適用を初めて受ける方は、確定申告の際に、住宅ローン控除の計算 明細書などの必要書類を確定申告書に添付して税務署長に提出する必要があります。
前問の適用要件の弾力化がなされた住宅ローン控除を受ける方は、これらの書類に加 えて、弾力化のケースに応じて、それぞれ次の書類を確定申告書に添付する 必要があります。
① 入居時期に関する申告書兼証明書(既存住宅の取得後増改築等を行った場合用)
この書類は、取得した中古住宅に取得から6か月以内に入居できなかった事情が新型コロナ ウイルス感染症等の影響であることを明らかにする書類であり、ご自身の申立書と建築業者等 から交付を受ける証明書とを兼ねたものとなっています。
② 入居時期に関する申告書兼証明書(控除期間 13 年間の特例措置用)
この書類は、控除期間 13 年間の特例措置の適用の対象となる住宅に令和2年 12 月 31 日 までに入居できなかった事情が新型コロナウイルス感染症等の影響であることを明らかにする書類であり、ご自身の申立書と建築業者等から交付を受ける証明書とを兼ねたものとなって います。
(10) 耐震改修した住宅に係る不動産取得税の特例措置の適用要件の弾力化
耐震基準不適合既存住宅を取得後に耐震改修した場合の不動産取得税の特例措置について、当該住宅をその取得の日から6月以 内に居住の用に供することができない場合において、当該特例措置を適用できるように適用要件が弾力化されます。
令和4年3月31日まで入居分までの特例措置です。
弾力化の要件は次のとおりです。
① 新型コロナウイルス感染症の影響によって当該耐震改修した住宅を居住の用に供することと なった日が当該取得の日から6月を経過する日 後となったこと。
② ①の耐震改修に係る工事の請負契約を、当該住宅の取得の日から5月を経過する日又は法律の 施行の日から2月を経過する日のいずれか遅い日までに締結していること。
③ ②の耐震改修に係る工事の終了後6月以内に、 当該住宅を居住の用に供すること。
新築された時期と控除額の関係は次のとおりです。
● 昭和29年7月1日から38年12月31日まで・・・100万円
● 昭和39年1月1日から47年12月31日まで・・・150万円
● 昭和48年1月1日から50年12月31日まで・・・ 230万円
● 昭和51年1月1日から56年6月30日まで ・・・350万円
● 昭和56年7月1日から60年6月30日まで ・・・420万円
● 昭和60年7月1日から平成元年3月31日まで・・・450万円
● 平成元年4月1日から平成9年3月31日まで・・・1,000万円
●平成9年4月1日以後 ・・・1,200万円
以上です。
PS.TAC生の方へ
関西のTACは5/18(月)から再開します。
既に自宅に送られている問題を持ってきてください。
マスクをしてきてくださいね。
木曜日の授業では、直前対策テキスト、マスター、ドクターを持ってきてくださいね。
詳しくは、TACのホームページと各自に送信されるメールをご覧ください。
↓↓↓↓↓
https://www.tac-school.co.jp/info2020_22.html
↑「2. TAC京都校・梅田校・なんば校・神戸校の5/18(月)~の営業について」と「3. ご来校及びご受講にあたって注意事項」などをご覧ください。