遊園地を運営していて、その遊園地内で運営する売店において飲食料品を販売する場合、来園者は園内で食べ歩くほか、園内に点在するベンチで飲食することもあります。
このような場合、遊園地という施設全体が「飲食設備」に該当し、食べ歩きも含め
て軽減税率の適用対象とならない「食事の提供」となるのか否かについては以下のように考えます。
軽減税率の適用対象とならない「食事の提供」とは、飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいます(改正法附則34①一イ)。
ここで、「飲食設備」とは、飲食料品の飲食に用いられる設備であれば、その規模や目的は問わず、例えば、テーブルのみ、椅子のみ、カウンターのみ又はこれら以外の設備であっても、これらの設備が飲食料品の飲食に用いられるのであれば、飲食設備に該当します(軽減通達8)。
このように、「飲食設備」とは、上記のとおり個々のテーブルや椅子等の飲食に用いられる設備を指すものですので、遊園地の施設全体を指すものではありません。
その上で、売店にとっての「飲食設備」は、例えば、売店のそばに設置したテーブルや椅子など、売店の管理が及ぶものが該当しますので、園内に点在している売店の管理が及ばないベンチ等は、その売店にとっての飲食設備に該当するものではないと考えられます。
したがって、来園者が飲食料品を園内において食べ歩く場合や、売店の管理の及ばない園内に点在するベンチで飲食する場合は、売店にとっては、単に飲食料品を販売しているにすぎないことから、「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります。
なお、売店の管理が及ぶテーブルや椅子などで顧客に飲食料品を飲食させる場合は、「食事の提供」に該当し、軽減税率の適用対象となりません。そのため、販売の際に、来園者に対してその場で飲食するかどうかの意思確認を行うなどにより適用税率を判定することとなります。
(参考)
遊園地の運営事業者(設備の設置者)と売店等の飲食料品を販売する事業者が異なる場合には、両者の間の「合意等」に基づき、その設備を売店等の顧客に利用させることとしているときは「飲食設備」に該当します。なお、「合意等」については、4月22日の当ブログをご参照ください。
以上です。
PS.令和2年度(第70回)税理士試験を受験される方へ
国税審議会からのお知らせです。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を踏まえた注意事項について
https://www.nta.go.jp/topics/pdf/0020007-094.pdf
令和2年度(第 70 回)税理士試験の試験場について
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/shikenkekka/70/pdf/shikenjo.pdf