令和元年12月に国税庁の新しいFAQが公表されましたので、当ブログで数回に分けて特集しています。全部で32項目ありますが、今日は16番目の項目についてです。
仮想通貨を低額譲渡(時価よりも著しく低い価額の対価による譲渡をいいます。)した場合の取扱いです。
ビットコインはBTCと表現されています。
(例)
次のとおり、仮想通貨を取得価額と同一価額で売却しましたので、売却による利益はあ
りませんが、この売却額は、その時の仮想通貨の相場(時価)と比べて低額なものとなっていました。この売却による所得以外の所得がないものとした場合、確定申告は必要となるのでしょうか。
・ 4月9日に 450,000 円で1BTC を購入した。
・ 5月 20 日に 450,000 円で1BTC を売却した。
なお、売却時における交換レートは1BTC=1,200,000 円であった。
(注) 上記取引において仮想通貨の売買手数料については勘案していない。
(答)
上記(例)の場合、雑所得の計算上、総収入金額は 840,000 円(時価の 70%相当額)として
計算しますので、所得金額を 390,000 円として申告が必要になります。
平成 31 年4月1日以降、個人が、時価よりも著しく低い価額の対価による譲渡(注 1)により
仮想通貨を他の個人又は法人に移転させた場合には、その対価の額とその譲渡の時におけるそ
の仮想通貨の価額との差額のうち実質的に贈与したと認められる金額(注 2)を雑所得等の総収入金額に算入する必要があります。
(注1) 「時価よりも著しく低い価額の対価による譲渡」とは、時価の 70%相当額未満で売却する場合をいいます。
(注2) 「実質的に贈与したと認められる金額」は、時価の 70%相当額からその対価の額を差し引いた金額として差し支えありません。
上記(例)の場合には、次のとおり、低額譲渡に該当するため、総収入金額に算入される金
額は、840,000 円となります。
【計算式等】
〇 低額譲渡に該当するかどうかの判定
① 売却価額 :450,000 円
② 時価の 70%相当額:1,200,000 円 × 70% =840,000 円
③ ①<②であることから、売却価額は、時価の 70%相当額未満であり、低額譲渡に該当
します。
〇 総収入金額算入額
低額譲渡に該当する場合の総収入金額は、実際の売却価額に加えて、時価の 70%相当
額との差額を総収入金額に算入することとなります。
450,000 円 + (840,000 円 - 450,000 円) = 840,000 円
[実際の売却価額] [時価の 70%相当額との差額] [総収入金額算入額]
〇 所得金額の計算
840,000 円 - 450,000 円 = 390,000 円
[総収入金額] [譲渡原価] [所得金額]
なお、贈与(死因贈与を除く。)又は遺贈(包括遺贈及び相続人に対する特定遺贈を除く。)
により仮想通貨を他の個人又は法人に移転させた場合には、その贈与又は遺贈の時における仮
想通貨の価額(時価)を雑所得等の総収入金額に算入する必要があります。
【根拠規定】
所法40
所令 87
所基通達40-2、40-3
以上です。