役員給与については、役員自身が給与の決定に携わるため、厳しく規定されています。つまり、当期は利益が500万円出たから、役員である自分に500万円の賞与を払って利益をゼロにし、税額が発生しないようにするという租税回避行為が簡単に行えるからです。
また、使用人に賞与を支払うこととして費用処理し、未払いのまま放っておくことができてしまうと、こちらも利益操作が可能になってしまいます。
そのため、使用人賞与については原則として未払金経理(使用人賞与/未払金)は認めず、支払ってはじめて法人税法上損金算入されます。
しかし、次の(1)と(2)の場合は、未払金経理が認められます。
法人が使用人に対して支給する賞与の額は、次に掲げる賞与の区分に応じ、それぞれ次の事業年度の損金の額に算入します。
なお、使用人に対して支給する賞与の額には、使用人兼務役員に対して支給する賞与のうち使用人としての職務に対応する部分の金額が含まれます。
(1) 労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与
(注) 使用人にその支給額が通知されているもので、かつ、その支給予定日又はその通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理したものに限られます。
⇒ その支給予定日又はその通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度
(2) 次に掲げる要件の全てを満たす賞与
使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度
イ その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること。
(注1) 法人が支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、ここでいう「通知」には該当しません。
(注2) 法人が、その使用人に対する賞与の支給について、いわゆるパートタイマー又は臨時雇い等の身分で雇用している者(雇用関係が継続的なものであって、他の使用人と同様に賞与の支給の対象としている者を除きます。)とその他の使用人を区分している場合には、その区分ごとに支給額の通知を行ったかどうかを判定することができます。
ロ イの通知をした金額を通知した全ての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること。
ハ その支給額につきイの通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。
(3) 上記(1)及び(2)に掲げる賞与以外の賞与
その支払をした日の属する事業年度
(法令72の3、法基通9-2-43~44)
以上です。