7/10の記事の続きです。
上場株式について、各事業年度末における株価が帳簿価額の 50%相当額を下回る場合における評価損を損金算入するに当たり、「株価の回復可能性」についての検証が必要になります。
これについては、「回復可能性がない」ことについて法人が用いた合理的な判断基準が示される限りにおいては、その基準が尊重されることとされています。
「回復の可能性が不明」な場合は、税法では評価損の計上が認められません。
この辺りは、会計とは異なっていますので注意が必要です。
会計では、「回復する見込みがあると認められる場合を除き」という表現を使い、「回復する見込みがない」と「回復する見込みが不明」が含まれるのですが、税法では、法人税法基本通達9-1-7において「回復が見込まれないこと」が条件となり、「不明」は含まれません。
国税庁の判断では、「必ずしも株価が過去2年間にわたり帳簿価額の 50%程度以上下落した状態でなければ損金算入が認められないというものではありません。 」といっていますので、とりあえず、
株価が過去2年間にわたり、帳簿価額の50%程度以上下落した場合
については、評価損の計上が認められるということになります。
ただ、条文では「50%相当額を下回る(=未満)」といっているにも拘らず、国税庁のQ&Aでは「50%以上下落」といってしまっているのが少し気になります。以上ということは50%の下落でも良いことになり、残額は50%ということになり、「未満」ではありませんから。
まぁ、そこは、過去の裁判例でも柔軟に扱われたこともあるようで、固いことはいわないということなのでしょう。
初めにピンクの文字で書いた法人が用いた合理的な判断基準とは何かについては、株式の発行法人に係る将来動向や株価の見通しについて、専門性を有する客観的な第三者の見解があれば、これを合理的な判断の根拠のひとつとされるようです。
具体的には、専門性を有する第三者である証券アナリストなどによる個別銘柄別・業種別分析や業界動向に係る見通し、株式発行法人に関する企業情報などを用いて、当該株価が近い将来回復しないことについての根拠が提示されるのであれば、これらに基づく判断
は合理的な判断であると認められるものとされるようです。
次回は、形式的な判断基準についてお話します。
以上です。