平成31年度改正により、「配偶者に係る控除」の適用範囲が制限されることについては、当ブログでも5月15日の記事で既にお知らせしています。
今日は、それについての解説をします。
給与等又は公的年金等の源泉徴収においては、これまでは、夫婦双方で適用可能なケースが存在しており、合法的な租税回避として利用されていました。
改正後は、このような、夫婦で二重に控除されることを防止するため、「源泉控除対象配偶者」は、夫婦のうちいずれか一方にのみ適用が可能とされることとなりました。
「源泉控除対象配偶者」とは、合計所得金額が900万円以下の居住者と生計を一にする一定の配偶者で、合計所得金額が85万円以下の者をいい、月々の源泉徴収の対象とされています。
配偶者を有している場合には、給与等又は公的年金等の支払者に、「給与所得者の扶養控除等申告書」又は「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出することにより、源泉徴収の段階で、「配偶者に係る控除」の適用が受けられることになっています。
ここで・・・
(例)
夫(給与所得者):「扶養控除等申告書」を給与支払者に提出
妻(年金所得者):「受給者の扶養親族等申告書」を年金支払者に提出
このような場合、従来の税制では、夫婦双方で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用が受けられる場合がありました。
これについて、平成31年度税制改正では、夫婦のいずれか一方のみが源泉控除対象配偶者に該当することとされ、配偶者に係る控除は夫婦のうちいずれか一方のみに適用されることとされたわけです。
この改正は、令和2年1月1日以後に支払うべき給与等又は公的年金等について適用されます。
年末調整や確定申告での配偶者特別控除の適用についての制限は次回書きます。
以上です。