(1)事業者等への協力要請
国税庁等の職員は、事業者及び特別の法律により設立された法人に、国税に関する調査(犯則事件の調査を除く。以下同じ。)に関し参考となるべき帳簿書類その他の物件の閲覧又は提供その他の協力を求めることができることが明文化されました。
主に仮想通貨交換業者等を主な対象と想定して制定されたのですが、それ以外の業種にも適用されますので、ご注意ください。
(2)事業者等への報告の求め
① 所轄国税局長は、次の要件の全てを満たす場合には、事業者、官公署又は特別の法律により設立された法人(以下「事業者等」という。)に、特定取引者の氏名又は名称、住所又は居所及び個人番号又は法人番号につき、60日を超えない範囲内においてその準備に通常要する日数を勘案して定める日までに、報告を求めることができることとされます。
イ 特定取引者の国税について、更正決定等をすべきこととなる相当程度の可能性がある場合
ロ この報告の求めによらなければ、特定取引者を特定することが困難である場合
(注1)
上記の「所轄国税局長」とは、事業者等の所在地を所轄する国税局長をいいます。
(注2)
上記の「特定取引者」とは、事業者等との取引(事業者等を介して行われる取引を含む。以下「特定取引」という。)を行う不特定の者をいいます。なお、下記(注3)(イ)に該当する場合にあっては、年間 1,000万円の課税標準を生じ得る取引金額を超える特定取引を行う者に限るものとされています。
(注3)
上記イの「更正決定等をすべきこととなる相当程度の可能性がある場合」とは、次のいずれかに該当する場合をいいます。
(イ)特定取引と同種の取引を行う者(その取引に係る課税標準等が年間1,000 万円を超える者に限る。)に対する国税に関する調査において、その半数以上の者について、その取引に係る課税標準等・税額等につき更正決定等をすべきと認められる場合
(ロ)特定取引に係る物品又は役務を用いることにより、当該特定取引に係る特定取引者の課税標準等・税額等について国税に関する法律の規定に違反すると認められる場合
(ハ)特定取引が経済的観点から見て通常であれば採られないような不合理な取引態様であることにより、違法行為の存在を推認させる場合
② 所轄国税局長は、上記①の報告の求めを行う場合には、事業者等の事務負担に配慮するとともに、報告を求める事項を書面で事業者等に通知しなければならないものとされています。
(注)上記①の報告の求めに対する拒否又は虚偽報告については、検査拒否等の場合と同様の罰則を設けられています。
③ 上記①の報告の求めについては、処分として不服申立て又は訴訟の対象とするなどとされています。
これは、令和2年1月1日以後に、税務当局から行われる協力又は報告の求めについて適用されます。