法人向けの事業承継税制が抜本的に拡充されたことにより、今年度、事業承継税制の認定件数が飛躍的に増加しました。
これを受け、平成31年度改正では、個人事業者についても、円滑な世代交代を通じた事業の持続的な発展の確保が喫緊の課題となっていることを踏まえ、個人事業者の事業承継を促進するため、10年間限定で、多様な事業用資産の承継に係る相続税・贈与税を100%納税猶予する「個人版事業承継税制」が創設されました。
具体的には、次のようになります。
【対象資産】
事業を行うために必要な多様な事業用資産が対象とされます。
○土地・建物(土地は400㎡、建物は800㎡まで)
○機械・器具備品
(例)工作機械・パワーショベル・診療機器等
○車両・運搬具
○生物(乳牛等、果樹等)
○無形償却資産(特許権等)
等
【相続税・贈与税の両方が対象】
生前贈与による早期の事業承継準備を支援するために、贈与税も対象になります。
【納税額の全額(100%)が納税猶予】
後継者の承継時の現金負担をゼロにすることができます。
【10年間の時限措置】
平成31年1月1日~令和10年12月31日の間に行われる相続・贈与が対象とされます。
ただ、以下の事にご注意ください。
(1) 制度を活用するためには、
①経営承継円滑化法に基づく認定が必要
②平成31年度から5年以内に、予め承継計画を提出することが必要
(2) 既存の事業用小規模宅地特例との選択制
今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万人(日本企業全体の1/3)が後継者未定とされていまます。
そのため、政府は事業承継税制に力を入れています。
以上です。