<現行法令>
共同相続人間の公平を図るため、現行法令では、被相続人(故人)が生前に「相続人」に対して贈与をしていた場合には、「特別受益」とされ、その贈与した財産の価額も相続財産の価額に加えて、相続分・遺留分(12/3の記事参照)の計算をするものとされていました。
また、何年前の贈与であったとしても、その価額は「相続時」の時価により、計算するものとされていました。
そのため、被相続人が生前に、後継者に自社株式をまとめて承継させようと試みても、遺留分を侵害された他の相続人から、遺留分の減殺請求があった場合、遺留分相当額の財産の返還を求めら、結局、自社株式が分散してしまうというリスクがありました。
さらに、これを防ぐために、贈与ではなく売買する方法を選択さる方も多くなっていました。
↓↓↓↓↓
<民法改正>
特別受益の相続財産への持ち戻しについては、相続開始前10年間の贈与に限定し、それ以前の贈与については、遺留分の算定からは除外するものとされました。
これにより、事業承継で自社株式を後継者である相続人に贈与した場合に、現行法令では何年前の贈与であっても遺留分の計算対象とされていましたが、改正後は過去10年間の贈与でない場合は、遺留分の計算対象に含める必要がなくなり、事業承継が、より行い易くなります。
この改正は、平成31年7月1日以後の相続に適用されます。
以上です。