日本では有限会社が多いですが、会社法の施行に伴い有限会社は廃止され、株式会社として存続することになりました(「有限会社」と名乗っても良いことになっています。)。
株式会社の場合、会社法上の役員といえば、中小企業については通常の場合、「取締役、監査役、会計参与」などの肩書がある人のことをいいますが、法人税法では、これだけではなく「みなし役員」という概念が追加されます。
なぜならば、役員は、持株数や議決権数の多い株主グループに属している場合、株主総会の決議を左右することが可能となり、「役員の選任」や「役員の給与」を決定することができます。
すると、ズルイ大株主は、自分を役員にし、「当期は100万円の利益が出た。税金を払うのは嫌だから、自分に100万円の賞与を支払い、経費にしてしまおう!」という簡単な利益操作が可能になります。
こんなことが可能であれば、誰も税金など払わなくなってしまいます。
そのため、役員給与については、法人税法で厳しくする必要があるのです。
利益操作の可能性があるとされる場合には、費用にしていても否認され、課税対象となってしまいます。
法人税では、役員の給与は厳しく、雇用契約である従業員(法人税では使用人といいます。)の給与は甘い扱いになっています。
さて、「みなし役員」を見落としている例としては、家族や親族で会社を設立し、経営しているような会社で、大株主の旦那さんが社長、奥様が使用人となっているような場合です。
このような場合、奥様は「経営に従事」しているだけで「みなし役員」になってしまいます。
旦那さんの給与は一般的な金額にして、使用人である奥様の給与を高額にしていると、法人税では、奥様を役員とみなし、その多めに支払った部分について、課税対象とします。
「経営に従事」とは、人事、給与、借入、技術、販売戦略 などの決定に携わっていることをいいます。
単に「経理事務作業を行っている程度」「経営者の指示で動いている程度」であれば、「経営に従事」には該当しません。
ご注意くださいね。